電気代が高い原因は“待機電力”?見直すべきポイントと対策とは
2025/07/28
「こまめに電気を消したり、省エネを意識したりしているのに、思ったように電気代が下がらない」といったお悩みが寄せられることがあります。
もしかすると、その原因は「待機電力」にあるのかもしれません。
待機電力は、家電製品の電源をオフにしていてもコンセントに接続されているだけで消費され続ける、いわば「隠れた電気代」です。
この記事では、この待機電力についてその原因から具体的な対策、さらにはリフォームによる根本的な解決策まで、専門家の視点から詳しく解説します。待機電力と電気代の関係を理解し、賢く節約を始めるための一歩を踏み出しましょう。
そもそも待機電力とは?なぜ発生する?
まず、「待機電力」とは何か、基本からご説明します。
待機電力(待機時消費電力)とは、家電製品の電源がオフの状態でも、コンセントに接続されているだけで消費される電力のことを指します。家電が完全に停止しているわけではなく、いつでも使えるように「待機」している状態、とイメージすると分かりやすいかもしれません。
待機電力が発生する主な理由は多岐にわたりますが、その多くは私たちの利便性を高めるために設計された機能によるものです。
✔リモコン操作の待ち受け
テレビやエアコンなどの家電製品は、リモコンからの信号をいつでも受信できるように「リモコン操作の待ち受け」状態を維持しています。これは、電源ボタンを押せばすぐに機器が作動することを可能にするためです。
✔時刻表示や設定の記憶
ビデオデッキや炊飯器、給湯器といった製品には、内蔵されている時計機能や予約設定などを維持するための電力が不可欠です。「時刻表示や設定の記憶」機能は、コンセントを抜かない限り、常に正確な時刻を表示したり、予約した時間に動作を開始したりするために電力を消費し続けます。
✔すぐに起動するための準備
パソコンや多機能な家電製品は、「すぐに起動するための準備」として待機電力を消費します。これは、スリープモードからの迅速な復帰や、ソフトウェアの自動更新、ネットワーク接続の維持といった、現代のデジタルライフに不可欠な機能をスムーズに提供するために必要となります。
このように、私たちの暮らしの利便性を支えるために待機電力は使われています。しかし、この待機電力が積み重なると、家計にとって無視できない負担となるのです。
資源エネルギー庁の調査によると、一世帯あたりの年間消費電力量のうち、約5%を待機電力が占めているというデータがあります。これは一般家庭の年間の電気代に換算すると約7,000円にもなり、決して小さな金額ではありません。この待機電力をいかに減らすかが、節電の重要な鍵となります。
要注意!家庭内の待機電力が大きい家電は?
ここでは、資源エネルギー庁の調査データを基に、特に待機電力が大きいとされる家電をランキング形式でご紹介します。ご家庭の状況と照らし合わせながらチェックしてみてください。
順位 | 家電製品 | 平均待機電力(W) |
1位 | ビデオ等内蔵テレビ | 約8.1W |
2位 | プロジェクター | 約6.3W |
3位 | ヒートポンプ式給湯機 | 約5.7W |
4位 | 回線終端装置 | 約5.7W |
5位 | ガス瞬間湯沸器 | 約3.9W |
6位 | テレビ | 約3.0W |
7位 | パソコンネットワーク機器 | 約2.5W |
8位 | 外部記憶装置 | 約2.3W |
9位 | 固定式電話機 | 約1.4W |
10位 | 温水洗浄便座 | 約1.0W |
出典:資源エネルギー庁「平成24年度エネルギー使用合理化促進基盤整備事業(待機時消費電力調査)報告書概要」
待機電力が大きい機器は、ランキングに基づき以下のカテゴリに分類できます。これにより、特定の用途に偏りがあることがわかります。
✅AV機器
テレビやプロジェクターなどが該当し、リモコン待機や番組データ受信のため常に電力を必要とし、待機電力が大きい傾向にあります。
✅給湯・温水機器
温度維持や即時使用のためのセンサー・制御機能が待機電力を消費します。
✅通信・ネットワーク機器
接続維持や着信待機が主な理由で、常時通電が求められます。
✅ストレージ機器
データ保護やアクセス待機のために電力を消費します。
今日からできる!待機電力の賢い節約術と対策
待機電力の大きい家電がわかったところで、次はいよいよ具体的な対策です。少しの工夫で電気代は変わってきます。ご家庭で簡単に始められる対策から、リフォームによる根本的な解決策まで、私たちプロの視点でご紹介します。
対策①:使わないときは主電源OFF&コンセントを抜く
最もシンプルで効果的な対策は、「使わない家電のコンセントを抜く」ことです。これが待機電力をゼロにする最も確実な方法であり、実践すれば家庭の待機電力の多くを削減できます。
とはいえ、毎日すべての家電のコンセントを抜き差しするのは大変です。まずは長時間使わないものやオフシーズン中のものから始めてみましょう。
旅行や帰省で家を空けるときは、テレビやレコーダー、パソコンのコンセントを抜く。
扇風機や電気ヒーターなどの季節家電は、シーズンオフになったらコンセントを抜いておく。
スマートフォンの充電器なども、充電が終わったらコンセントから抜く習慣をつける。
また、テレビやレコーダーは、リモコンの電源ボタンだけでなく、本体にある主電源ボタンでオフにするだけでも節電効果があります。
対策②:「スイッチ付き電源タップ」で楽々節電
コンセントの抜き差しが面倒、あるいはコンセントが家具の裏にあって手が届きにくい、という場合に大活躍するのが「スイッチ付き電源タップ」です。
テレビ周りやパソコン周りなど、関連する家電を一つのタップにまとめ、使わないときはスイッチをひとつ切るだけで、接続されているすべての家電の待機電力をまとめてカットできます。
家電量販店やホームセンターで手軽に購入できるので、ぜひ活用してみてください。雷サージ保護機能が付いたものを選ぶと、落雷による家電の故障リスクも軽減できて一石二鳥です。
専門業者による電気工事が必要になりますが、壁のコンセント自体をスイッチ付きのものにするという選択肢もあります。
対策③:省エネ家電への買い替え
もし10年以上同じ家電を使い続けているなら、買い替えを検討するのも非常に有効な待機電力対策です。
近年の家電製品は省エネ性能が飛躍的に向上しており、待機電力も大幅に削減されています。例えば、10年前のエアコンと最新のものでは、期間消費電力量に大きな差があります。初期費用はかかりますが、毎月の電気代というランニングコストで考えれば、長い目で見てお得になるケースは少なくありません。
我が家の待機電力はどれくらい?専門家による調査も可能
「いろいろ対策は分かったけど、結局うちの待機電力はいくらなんだろう?」
そう思われた方のために、ご家庭の待機電力を調べる方法を2つご紹介します。
手軽にチェック!「ワットチェッカー」を使ってみる
「ワットチェッカー」「ワットモニター」(検電器)という機器を使えば、個々の家電製品の消費電力を自分で測定することができます。測定したい家電とコンセントの間にワットチェッカーを接続するだけで、使用中の消費電力はもちろん、待機電力も数値で確認できます。
数千円程度で購入でき、どの家電がどれだけ電気を使っているか「見える化」されるので、ご家族の節電意識を高めるのにも役立ちます。
正確な調査と対策はプロにお任せください
「自分で調べるのは難しそう」「家全体の待機電力を正確に知りたい」「最適な対策をアドバイスしてほしい」という場合は、ぜひ私たち電気工事の専門家にご相談ください。
専用の計測機器を用いて、お客様のご家庭全体の消費電力や待機電力を正確に調査することが可能です。調査結果に基づいて、どの時間帯に、どの機器で電力が多く使われているかを分析し、お客様一人ひとりのライフスタイルに合わせた最も効果的な節電対策をご提案します。
スイッチ付きコンセントへの交換
消費電力の少ない照明(LED)への切り替え
分電盤のチェックやアンペア契約の見直し
など、電気に関するトータルな視点から、お客様の快適で経済的な暮らしをサポートいたします。
まとめ|待機電力を見直して、賢く電気代を節約しよう
今回は、電気代が高くなる一因である「待機電力」について、その原因から対策までを詳しく解説しました。
待機電力は家庭の電気代の約5%、年間約7,000円にもなる「隠れた電気代」
特に給湯器、テレビ、通信機器などが要注意
対策の基本はコンセントを抜くこと
「スイッチ付きタップ」や「ワットチェッカー」の活用
省エネ家電への買い替えや「スイッチ付きコンセント」へのリフォームも効果大
日々の小さな心がけと、時にはプロの力を借りることで、待機電力は確実に削減できます。リフォームで根本的に対策したいとお考えの方は、お気軽に株式会社TSCまでお問い合わせください。
尼崎市を中心に周辺エリアの皆様の元へ駆けつけます。経験豊富な電気工事士が、待機電力の調査から対策まで、お客様の快適な生活を全力でサポートします。