電気設備の寿命はどれくらい?定期点検で防げるトラブル
2025/09/30
「最近、よくブレーカーが落ちるようになった」「このコンセント、もう20年以上使っているけど大丈夫?」
毎日当たり前のように使っている電気ですが、その設備にも生き物と同じように「寿命」があることは意外と知られていません。
照明や家電製品と違い、壁の中にある配線や分電盤の中のブレーカーは、普段目にすることがないため、劣化に気づきにくいのです。
しかし、寿命を過ぎた電気設備を使い続けると、漏電や火災といった大きな事故につながる可能性もゼロではありません。大切なご家族と財産を守るためにも、電気設備の寿命を知り、適切なタイミングでメンテナンスを行うことが非常に重要です。
この記事では、プロの電気工事士の視点から、
・ご家庭にある主要な電気設備の寿命の目安
・寿命が過ぎた設備を放置する危険性
・トラブルを未然に防ぐ「定期点検」の必要性とメリット
・どこに点検を依頼すれば良いのか
といった内容を、分かりやすく解説していきます。ご自宅の電気設備の”健康状態”をチェックするきっかけとして、ぜひ最後までお読みください。
確実に劣化していく家庭の電気設備
「まだ普通に使えているから大丈夫」と思っていても、電気設備は設置されたその日から、少しずつ劣化が始まっています。
特に、湿気やホコリ、熱などの影響を受けやすい場所では、その進行が早まることもあります。
主要な電気設備の寿命目安
では、具体的にどの設備が、どれくらいの期間で交換時期を迎えるのでしょうか。あくまで一般的な目安ですが、ご自宅の築年数と照らし合わせてみてください。
設備の種類 | 寿命の目安 | 交換を検討すべきサイン |
分電盤・ブレーカー | 10~15年 | ブレーカーがよく落ちる
本体が変色・変形している 焦げ臭い匂いがする |
配線器具
(コンセント・スイッチ) |
10年 | プラグの抜き差しが緩い
ひび割れや変色 スイッチの反応が悪い |
屋内配線 | 20~30年 | 漏電ブレーカーが頻繁に作動する
特定の部屋だけ電気が不安定 |
照明器具 | 8~15年 | 点灯が遅い
ちらつく 異音がする |
換気扇 | 10~15年 | 異音がする
吸い込みが悪い スイッチを入れても動かないことがある |
インターホン・ドアホン | 15年 | 映像が乱れる
音声が聞こえにくい ボタンの反応が悪い |
特に注意が必要なのが、家の電気系統の司令塔である分電盤です。最近の分電盤は漏電や使いすぎを検知する安全ブレーカーが標準装備されていますが、古いタイプのものだと、安全機能が不十分な場合があります。15年以上交換していない場合は、一度専門家による点検をおすすめします。
コンセントやスイッチも、毎日抜き差ししたりオンオフしたりすることで、内部の部品が摩耗していきます。差し込みが緩くなると、接触不良から熱を持ってしまい、火災の原因となる「トラッキング現象」を引き起こす危険性が高まります。
寿命が過ぎた電気設備を使い続ける3つの危険性
「寿命は分かったけど、まだ使えるのにもったいない」と感じるかもしれません。しかし、劣化した電気設備を使い続けることには、無視できない大きなリスクが伴います。
✔漏電による感電・火災のリスク
電気ケーブルを覆っているビニールの絶縁体が劣化して剥がれたり傷ついたりすると、そこから電気が漏れ出す「漏電」が発生します。漏電は、人が触れると感電する恐れがあるだけでなく、漏電箇所から火花が散り、近くのホコリや可燃物に着火して火災を引き起こすこともあります。
✔ショート・発火のリスク
コンセントに溜まったホコリが湿気を吸うことで発生する「トラッキング現象」は、家庭の電気火災の主な原因の一つです。また、ケーブルの劣化や損傷によって内部の電線同士が接触(ショート)し、大きな電流が流れて発火することもあります。
✔突然の停電による不便
ブレーカーや配線の劣化が進むと、ある日突然、家全体の電気が使えなくなる可能性があります。特に、夏場の猛暑日にエアコンが使えなくなったり、冬場の寒い日に暖房が使えなくなったりすると、生活に大きな支障をきたし、健康を害する恐れさえあります。
トラッキング現象など電気火災の危険性については、こちらの記事でより詳しく解説しています。
関連記事:「タコ足配線」が引き起こす3つのリスクと安全な使い方のコツ
トラブルを未然に防ぐ「電気設備定期点検」のすすめ
自動車に車検があるように、家の電気設備にも定期的な点検が必要です。それが、プロによる「定期点検」です。
問題が起きてから慌てて対応するのではなく、問題が起きる前に原因を発見し、対処することで、安全かつ快適な暮らしを維持できます。
電気設備の定期点検とは?
「定期点検」と聞いても、具体的に何をするのかイメージが湧かない方も多いでしょう。私たち電気工事士が行う点検では、専用の測定器を使って、目には見えない電気の異常をチェックします。
✔絶縁抵抗測定
配線の被覆が劣化していないか、電気が漏れていないか(漏電していないか)を測定します。
✔接地抵抗測定
アース(接地)が正しく機能しているかを測定します。アースは漏電した電気を地面に逃がし、感電を防ぐための重要な安全装置です。
✔分電盤のチェック
ブレーカーの動作確認、端子の緩みや過熱の跡がないかなどを詳細に確認します。
✔配線器具のチェック
コンセントやスイッチのひび割れ、変色、プラグの緩みなどを目視と手で確認します。
これらの点検を通じて、ご家庭の電気設備が安全な状態にあるか、交換が必要な箇所はないかを総合的に判断します。
4年に1度の定期調査との違い
4年に一度、地域の送配電事業者から委託された調査員が、電気事業法に基づき、電気設備の安全調査を行っています。この調査では、主に分電盤での漏電の有無の測定や簡単な目視点検が行われ、費用はかかりません。
しかし、この調査は壁の中の配線の状態や、個々のコンセント・スイッチの内部劣化まで詳しく調べるものではないため、この調査で「問題なし」とされても、ご家庭の電気設備が完全に安全であるとは限りません。
定期点検の適切な頻度は「10年に一度」が目安
事業用の電気設備と違い、一般家庭に定期点検の法的な義務はありません。しかし、安全に暮らすためには「10年に一度」を目安に点検を受けることを強く推奨します。
・築10年以上経過している
・中古住宅を購入した
・コンセントや分電盤を10年以上交換していない
・家族が増え、使う電化製品が多くなった
といったご家庭は、一度プロの目でチェックしてもらうと安心です。分電盤やコンセントの寿命(10年〜15年)と近いタイミングで点検を行えば、交換工事もまとめて計画的に進められます。
定期点検で得られる3つのメリット
定期点検には、費用や時間がかかるという側面もありますが、それ以上に大きなメリットがあります。
✔目に見えないリスクを発見できる
最大のメリットは、壁の中の配線や分電盤内部など、普段見ることができない部分の異常を早期に発見できることです。劣化のサインを見つけ、火災などの事故が発生する前に対処できます。
✔家族の安全と安心につながる
「我が家の電気はプロに見てもらったから大丈夫」という事実は、何物にも代えがたい安心感につながります。特に、小さなお子様やご高齢の方がいらっしゃるご家庭では、感電や火災のリスクを減らすことが非常に重要です。
✔リフォームや交換の計画が立てやすくなる
点検によって設備の現状を把握することで、「あと何年くらいで交換が必要か」「次のリフォームで一緒に工事した方が効率的か」など、将来的なメンテナンス計画が立てやすくなります。無駄な出費を抑え、最適なタイミングで設備を更新できます。
電気設備の点検はどこに依頼すればいい?
では、実際に定期点検を依頼したい場合、どこに連絡すれば良いのでしょうか。
地域の電気工事店に依頼するのがおすすめ
おすすめするのは、地域に根ざして営業している電気工事の専門業者に依頼することです。
電気工事業者は点検から修理、交換、リフォームまで、ワンストップで対応できるのが強みです。点検で問題が見つかれば、その場で修理や交換の見積もりを出し、後日すぐに工事に取り掛かることができます。
地域の電気工事店は「かかりつけ医」のように頼れるパートナー
何か困ったことがあったときに気軽に相談でき、すぐ駆けつけてくれる。そんなパートナーを見つけておくことには多くのメリットがあります。
✅フットワークが軽く、対応が迅速
地域密着だからこそ、お客様からのご相談にスピーディーに対応できます。「ブレーカーが落ちて電気がつかない!」といった緊急時にも、すぐ駆けつけることが可能です。
✅家のことを理解した最適な提案
一度お付き合いさせていただくと、そのお宅の電気設備の状況や配線のクセなどを把握できます。そのため、将来的なリフォームやコンセントの増設といったご相談にも、家の構造を理解した上で、より的確で無駄のない提案ができます。
✅電気に関するあらゆる相談に対応
「ここにコンセントがあったら便利なのに」「キッチンの照明をもっと明るくしたい」といった日常の小さなお悩みから、太陽光発電やオール電化といった大規模な工事まで、電気に関することなら何でも相談できます。
まとめ|尼崎市周辺で電気設備の点検・交換をご検討なら株式会社TSCへ
今回は、家庭の電気設備の寿命と、定期点検の重要性について解説しました。
電気は私たちの生活に不可欠なものですが、一歩間違えれば非常に危険なものです。この記事をきっかけに、ご自宅の電気設備に関心を持っていただき、専門家による点検を検討していただければ幸いです。
尼崎市周辺で電気設備の不安を感じたら、地域密着型の電気工事専門店「株式会社TSC」にご相談ください。経験豊富な有資格者が、点検からコンセント増設、リフォームまで一貫して対応いたします。
地元ならではの迅速な対応と、作業前の明確な見積もり提示で安心です。暮らしの電気のお困りごとを、ぜひお気軽にお問い合わせください。
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