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「タコ足配線」が引き起こす3つのリスクと安全な使い方のコツ

2025/08/26

「キッチンのコンセントが足りなくて、タコ足配線になっている…」
「テレビ周りの配線がごちゃごちゃでホコリも溜まっているし、火事にならないか心配…」
スマートフォンやタブレット、スマートスピーカー、多種多様なキッチン家電など、私たちの暮らしは便利な電化製品であふれています。しかし、それに伴って多くのご家庭で起きているのが「コンセント不足」の問題です。
足りないコンセントを補うために「タコ足配線」は非常に便利ですが、その手軽さの裏には、実は火災や感電といった重大な事故につながる危険が潜んでいます。
この記事では、電気工事のプロの視点から、タコ足配線が引き起こす3つの重大なリスクについて、どこよりも分かりやすく解説していきます。
「うちのタコ足配線、もしかして危ないかも?」と感じている方は、ぜひ最後までお読みいただき、ご自宅の電気環境を見直すきっかけにしてください。

タコ足配線が引き起こす3つの重大リスク

「タコ足配線が危ない」とはよく言われますが、具体的に何が、どのように危険なのでしょうか。まずは、タコ足配線に潜む代表的な3つのリスクを正しく理解することから始めましょう。

リスク1:【発火】定格容量オーバーによる過熱

タコ足配線で最も多く、そして最も危険なのが、「定格容量(ていかくようりょう)」を超えて電気を使いすぎてしまうことです。
定格容量とは、そのコンセントや電源タップが安全に使える電気の量の上限のことです。これは「A(アンペア)」や「W(ワット)」という単位で示されます。
壁のコンセント:一般的に「15A(アンペア)/1500W(ワット)」まで
市販の電源タップ:製品によりますが、多くは合計「1500W」まで
と定められています。
つまり、1つのコンセント(または1本の電源タップ)に接続している電化製品の消費電力の合計が、この1500Wという上限を超えてしまうと「容量オーバー」の状態になります。
容量オーバーになると、電源コードやタップの内部で電気が渋滞を起こし、コードが異常な熱を持ち始めます。この状態が続くと、コードを覆っているビニールの被覆が熱で溶け出し、中の銅線がむき出しになってショート(短絡)を起こします。そして、火花が散って周りのホコリや可燃物に燃え移り、火災に至るのです。
特に注意が必要なのは、「熱を発生させる家電」です。これらの家電は消費電力が非常に大きい傾向にあります。
【特に消費電力が大きい家電の例(目安)】
・電子レンジ:500〜1000W
・IHクッキングヒーター:1000~1400W
・ドライヤー:1000~1200W
・電気ケトル・電気ポット(湯沸かし時):1200〜1300W
・炊飯器(炊飯時):1100〜1300W
・オーブントースター:1000〜1200W
・食器洗い乾燥機:1100〜1300W
・アイロン:1200〜1400W
・ホットプレート:1300W
例えば、1つの電源タップで電子レンジを使いながら、電気ケトルでお湯を沸かすと、それだけで簡単に1500Wの上限を超えてしまうことがお分かりいただけると思います。
これらの家電をタコ足配線で同時に使用するのは、火災のリスクを自ら作り出しているようなもので、絶対に避けなければなりません。

リスク2:【火災】ホコリと湿気が原因の「トラッキング現象」

2つ目のリスクは、「トラッキング現象」による火災です。
これは、コンセントと電源プラグの隙間に長年溜まったホコリが空気中の湿気を吸うことで電気を通しやすい状態になり、漏電して火花が発生し最終的に発火に至る現象です。
タコ足配線は、構造上どうしてもコンセント周りがごちゃごちゃし、ケーブル類が密集します。そのため、ホコリが溜まりやすく、掃除もしにくくなるため、トラッキング現象のリスクが格段に高まってしまうのです。
特に、以下のような場所でのタコ足配線は危険度が高いと言えます。
キッチンや洗面所、加湿器の近く:湿気が多く、トラッキング現象が起きやすい。
冷蔵庫やテレビ、洗濯機の裏:一度設置すると動かすことが少なく、ホコリが溜まりやすい。
ベッドやソファの下:掃除が行き届きにくく、寝具や布類に燃え移りやすい。

リスク3:【断線・感電】コードの劣化や損傷

3つ目のリスクは、電源コードそのものの劣化や損傷によるものです。
タコ足配線はケーブルが長くなりがちで、どうしても扱いが雑になってしまいます。
・余ったコードをきつく束ねる
・コードを釘やステープルで壁に固定する
・家具やカーペットの下敷きにする
・ドアや引き出しに挟み込む
・プラグではなくコードを引っ張って抜く
こうした行為はすべて、コード内部にある細い銅線を傷つけたり、断線させたりする原因になります。内部で断線しかかっている状態(半断線)になると、その部分で電気が流れにくくなり、異常発熱して発火の危険があります。
また、コードの被覆が破れて銅線がむき出しになると、触れた際に感電したり、金属などに触れてショートしたりする恐れもあり、大変危険です。
さらに、小さなお子様やペット(犬、猫など)がいるご家庭では、コードをかじってしまうことによる感電事故のリスクも考えられます。床に長く伸びたタコ足配線は、彼らにとって格好の”おもちゃ”に見えてしまうかもしれません。

その使い方、大丈夫?今すぐできるタコ足配線の安全チェックリスト

3つのリスクをご理解いただいたところで、ご自宅のタコ足配線が安全な状態か、一度チェックしてみましょう。以下のリストに沿って、ご家庭のコンセント周りを確認してみてください。

容量は守られていますか?

まずは、1つの電源タップに繋がっている家電の消費電力を確認してみましょう。消費電力(W)は、家電本体の側面や背面に貼られているシール(銘板)や、取扱説明書に記載されています。合計が1500Wを超えていないか、一度計算してみてください。

ホコリは溜まっていませんか?

電源プラグを抜き、コンセント周りや電源タップにホコリが溜まっていないか確認しましょう。
掃除をする際は、必ず乾いた布やティッシュでホコリを拭き取ってください。濡れた雑巾を使うと、逆にトラッキング現象を引き起こす原因になりかねません。細かい部分は、掃除機のノズルやエアダスターを使うと綺麗になります。月に一度はコンセント周りをチェック・清掃する習慣をつけるのが理想です。
また、最近ではホコリの侵入を防ぐ「シャッター付き」の電源タップや、プラグの根元を覆う「コンセントキャップ」なども市販されています。こうしたグッズを活用するのも有効な対策です。

コードは正しく扱われていますか?

電源コードが家具の下敷きになっていたり、カーペットの下を通っていたり、きつく束ねられていたりしないか確認しましょう。コードはなるべくゆとりを持たせ、負荷がかからないように配線するのが基本です。
また、コードを定期的に触ってみて、一部分だけ異常に熱くなっていないか、被覆にひび割れや破れがないかを目視で点検することも大切です。もし異常が見つかった場合は、すぐに使用を中止してください。

古い電源タップを使い続けていませんか?

電源タップにも寿命があります。使用環境にもよりますが、寿命の目安は3年〜5年と言われています。見た目に問題がなくても、内部の部品は経年劣化していきます。長年使っている電源タップは、発火のリスクが高まっていると考え、定期的に新しいものに交換することを強くおすすめします。
新しい電源タップを選ぶ際は、電気用品安全法に適合した証である「PSEマーク」が付いていることを必ず確認しましょう。

解決策は「コンセントの増設・移設」

これらの問題を根本から解決し、タコ足配線の不安や不便さから完全に解放されるための最も確実で安全な方法。それが「コンセントの増設・移設」です。
必要な場所に、必要な数のコンセントを新たに設置することで、暮らしは劇的に快適で安全になります。

コンセント増設・移設のメリット

・安全性の向上
・タコ足配線が不要になり、容量オーバーやトラッキング現象のリスクを根本から解消できる。
・見た目の改善
・ごちゃごちゃした配線がなくなり、お部屋がスッキリ。掃除も楽になる。
・利便性の向上
・生活動線に合わせた場所にコンセントを設置することで、家電が使いやすくなり、日々のストレスが軽減される。
・資産価値の維持
・暮らしやすい住宅は、将来的な資産価値の維持にも繋がる。

コンセント増設工事はDIYできる?

コンセントの増設や移設といった、配線を伴う電気工事は「電気工事士」という国家資格を持つ者でなければ行ってはならないと、法律(電気工事士法)で定められています。
無資格での工事は法律違反であることはもちろんですが、それ以上に、配線ミスによる漏電やショートが原因で、火災や感電といった命に関わる重大な事故を引き起こす危険性が極めて高い行為です。
インターネット上にはDIYの方法を紹介する情報もありますが、絶対に真似をせず、必ずプロの電気工事店に依頼してください。

コンセント増設工事の種類と費用相場

コンセント増設工事の費用は、どのような方法で配線するかによって変わってきます。ここでは代表的な3つのパターンと費用相場をご紹介します。

パターン1:既存の配線から分岐させる

【費用相場】
1箇所あたり 15,000円~30,000円程度
近くにある既存のコンセントや照明スイッチの裏側から電線を分岐させて、新しいコンセントを設置する方法です。壁の内部で配線作業が完結することが多く、比較的短時間で手軽に増設できます。
ただし、あくまで同じ電気回路上にコンセントが増えるだけなので、その回路全体で使える電気の総量(1500W)は変わりません。

パターン2:分電盤から専用回路を引く

【費用相場】
1箇所あたり 15,000円~30,000円程度
ご家庭の電気の司令塔である「分電盤」から、そのコンセント専用の新しい配線を引く方法です。エアコンや電子レンジ、IHクッキングヒーターなど、消費電力が特に大きい家電を設置する場合におすすめです。
他の電気機器の影響を受けず、安定して大容量の電気が使えるため、ブレーカーが落ちる心配が格段に減ります。

パターン3:コンセントの交換・増設

【費用相場】
1箇所あたり 5,000円~10,000円程度
既存の1口コンセントを2口や3口のプレートに交換したり、スマートフォンなどの充電に便利なUSBポート付きのコンセントに交換したりする工事です。

※上記の費用はあくまで一般的な目安です。壁の材質(木造、コンクリートなど)や建物の構造、配線の状況によって変動しますので、正確な金額は必ず事前に見積もりを取って確認しましょう。

まとめ

今回は、タコ足配線に潜む危険性と、その根本的な解決策について詳しく解説してきました。
「コンセントが足りないのは仕方ない」と諦めて、危険なタコ足配線を使い続ける必要はありません。コンセントの位置や数を少し見直すだけで、ご家庭の安全性と快適性は驚くほど向上します。
「うちの場合はどこに増やすのがいいんだろう?」
「費用が具体的にどれくらいかかるか知りたい」
「そもそも、どこに相談すればいいのか分からない…」
もしあなたが兵庫県尼崎市周辺にお住まいで、このようなお悩みをお持ちでしたら、ぜひ私たち株式会社TSCにご相談ください。
私たちTSCは、地域に根ざした電気工事の専門家として、これまで数多くのご家庭のコンセントのお悩みを解決してまいりました。「こんな些細なことを頼んでいいのかな?」と思うようなことでも、全く問題ありません。お客様一人ひとりの暮らしに寄り添い、最適なプランをご提案することをお約束します。
現地調査・お見積もりは無料です。まずはお電話やお問い合わせフォームから、あなたのお困りごとを気軽にお聞かせください。経験豊富な電気工事士が、親身になってご対応いたします。

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